ホワイトハンズ大学   


 女性身体障害者の生理&生理介助に関する情報

目次:

序章:女性身体障害者に対する生理介助の必要性について

第1章:女性身体障害者の生理及び生理介助に関する、よくある質問と回答

 Q1:介助者の不在で長時間ナプキンの取替えができない場合、どうしたらいいですか?

 Q2:通常のナプキンがサイズ的に大きすぎて使用困難な場合、どうしたらいいですか?

 Q3:不随意運動で身体が動く時に、ナプキンとショーツの隙間から、経血がモレてしまうのですが・・・。

 Q4:車イスに座ったままの状態だと、ナプキンがムレて、デリケートゾーンがかぶれるのですが・・・。

 Q5:生理用品を買うために毎月外出するのが、結構重労働&恥ずかしいのですが・・・。

 Q6:生理の終盤になると、お腹が冷えるのですが・・・。

 Q7:手に障害があるため、タンポンが入れにくいのですが・・・。

 Q8:身体障害のため、生理の処理がうまくできず、いつも服や部屋を汚してしまうのですが・・・。

 Q9:女性が脊髄を損傷した場合でも、生理は来るのですか?

 Q10:特別支援学校(養護学校)に通っている娘が、もうすぐ初潮を迎えます。

    手足に障害があるため、自分で生理用品の交換ができないのですが、どうすればいいでしょうか?


第2章:女性身体障害者へのタンポンの挿入介助〜取り出し介助の手順

 1.タンポンの挿入介助の手順

 2.タンポンの取り出し介助の手順

 3.タンポンの挿入介助に関する、よくある質問と回答


第3章:女性身体障害者へのナプキン交換介助の手順

 1.ナプキン交換介助の手順

 2.布ナプキンの洗い方


*参考文献・サイト一覧



序章:女性身体障害者に対する生理介助の必要性について

女性の生理は、食事や排泄、睡眠と同様の、人間としての基本的な生理現象です。

しかし、これまで、女性身体障害者に対する生理の介助=「生理介助」は、

情報としてほとんど公開されることも無く、介助の技術として、その存在や必要性が

言及されることすら、全くと言っていいほどありませんでした。


生理介助が完全な「死角」とされてきた原因としては、以下の仮説が考えられます。


仮説:「初潮から閉経までの間、家族以外の第三者から、生理の介助を受ける機会自体が無い」


生理介助の必要な10代〜40代の女性重度身体障害者は、在宅で生活している場合が多く、

主として家族=母親によって、日常生活の介助を受けている。


そのため、家族以外の第三者が生理の介助を行う機会も必要性も無く、

それゆえに、生理介助の技法が、普遍的な介助技法として公開されたり、体系化されることが無かった、

という仮説です。


施設で生活したり、地域で自立生活をする場合は、必然的に第三者から

日常生活全般の介助を受けることになりますが、在宅で生活している限りにおいては、その必要はありません。


しかし、将来的に、若い時期から親元を離れ、地域で自立生活を行う女性身体障害者は、

今後増加していくだろう、と考えられます。


その時に、介助者がいざ生理の介助を行おうとしても、何を、どのように、どうやってやればいいのか、

介助者に説明することができない、という状況に本人が陥ってしまうのを未然に防ぐべく、

本ケアガイドでは、生理介助の知識・技法に関する情報を収集・公開していきたいと思います。


本ケアガイドが、地域で自立生活を始めようと考えておられる、若い世代の女性身体障害者の方々の

お役にたつことができれば、それに勝る喜びはございません。



第1章:女性身体障害者の生理及び生理介助に関する、よくある質問と回答


Q1:介助者の不在で長時間ナプキンの取替えができない場合、どうしたらいいですか?

A:ナプキンは、紙ナプキン・布ナプキンを問わず、着用から2〜3時間を目安に取り替えることが理想ですが、

 介助者の不在等で、長時間ナプキンの交換ができないときは、昼間でも

 「夜用」のナプキンを使うことをお勧めします。


 ナプキンが大きくて、外出の際などに目立つのが心配なときは、「夜用のスリムタイプ」を活用しましょう。

 ナプキンにしっかりとフィットするショーツをいっしょに使えば、より安心です。

 (出血の多い日には、ショーツタイプのナプキンを使うことも、有効です)



Q2:通常のナプキンがサイズ的に大きすぎて使用困難な場合、どうしたらいいですか?

A:現時点では、子供向けの生理用品(紙ナプキン)は販売されていないので、

 市販の成人向けのMサイズで代用するか、ジュニア用の下着売り場等で売られている

 サニタリーショーツ(生理用ショーツ)などを使用する形になります。


 既製品でしっくりくるものが無い場合、赤ちゃん用のオムツや、

 子供用の尿とりパットを転用することも、一つの方法です。



Q3:不随意運動で身体が動く時に、ナプキンとショーツの隙間から、経血がモレてしまうのですが・・・。

A:ショーツにつけるタイプのナプキンのみではなく、身体に直接つけるタイプの生理用品の併用をお勧めします。

 「ソフィ シンクロフィット」(ユニ・チャーム)などがあります。


 このタイプの生理用品は、洋式トイレに座る時に自然と落ちる場合が多いので、

 身体障害のある女性でも、取り外しの手間がかかりません。

 自然に落ちない場合は、トイレットペーパーなどで軽く拭くようにすると、すぐに落ちます。


 また、横モレに関しては、子供用の尿とりパッドの中にナプキンを入れて着用すると、

 ある程度防止できる、という報告もあります。

 血液量が少ない場合、中のナプキンのみを交換すれば、尿とりパッドは継続して使用できます。


 睡眠中のモレが気になる場合は、ショーツタイプのナプキン(ロリエ スーパーガードなど)を

 使用することも有効です。睡眠中でも、モレを気にすることなく、寝返りを打つことができます。


 ただし、関節稼動域の狭い人の場合は、ショーツタイプのナプキンを履くことが困難なので、

 その場合は、装着の際にナプキンの両脇に切れ目を入れてから履かせるなど、

 工夫する必要があります。



Q4:車イスに座ったままの状態だと、ナプキンがムレて、デリケートゾーンがかぶれるのですが・・・。

A:身体を自由に動かせない女性の生理期間中は、ムレやかぶれとの戦いになります。


 特に重度の肢体不自由を伴う脳性まひの女性の場合、自分の手でケアを行ったり、自分の手で

 かゆいところをかいたりすることができないため、いったんムレやかぶれが生じてしまうと、

 生理自体が非常に苦痛になってしまいます。

 そのため、対策は万全にとりたいところです。


 ムレやかぶれに対する基本的な対策としては、入浴時やナプキンの交換時に、

 デリケートゾーンを丁寧に洗浄&清拭して、衛生面での清潔を保つことです。


 ナプキンかぶれに関しては、「馬湯(バーユ)」など様々なものが薬局で売られていますので、

 恥ずかしがらずに、薬剤師さんに相談してみましょう。

 あせもに関しては、ベビーパウダーの使用も有効です。

 下着には通気性の良い綿などの素材を使い、下半身を締め付けるようなズボンの着用は避けるべきです。


 また使い捨ての紙ナプキンではなく、布ナプキンを使うと、ムレやかぶれがおさまることもあります。

 ムレやかぶれが気になる場合は、一度チャレンジしてみてください。


 なお、かぶれを防止しようとして、外陰部を洗浄機能つきのトイレで洗いすぎると、

 膣内の自浄作用が弱まってしまうので、注意してください。

 温風乾燥に関しても、乾きすぎは、余計にかぶれやかゆみを強める結果になります。



Q5:生理用品を買うために毎月外出するのが、結構重労働&恥ずかしいのですが・・・。

A:通販で購入するか、繰り返し使用できる布ナプキンに変更しましょう。

 布ナプキンは、毎回洗う手間はかかりますが、紙ナプキンに比べて経済的でもあります。



Q6:生理の終盤になると、お腹が冷えるのですが・・・。

A:紙ナプキンから布ナプキンに替えることで、お腹の冷えが少なくなった、という報告がありますので、

 冷えが気になる場合は、一度試してみてください。


 また、お腹や腰へのカイロの使用も有効です。カイロを使用する場合は、低温火傷を予防するために、

 必ず衣服を1枚着た上からあてるようにしてください。


 身体障害が理由で頻繁に入浴できない場合、冷えた身体を温める方法として、熱めのお湯(40〜42度)で

 「足湯」や「手浴」を行うことも、お勧めできます。



Q7:手に障害があるため、タンポンが入れにくいのですが・・・。

A:経血の多い日に入れると、経血によってすべりやすくなっているので、スムーズに入ることが多いです。


 身体障害が理由で生理用品の交換に時間がかかる場合、タンポンの方がナプキンよりも

 入れっぱなしによる細菌感染の危険性が高いので、基本的にはナプキンを使用し、

 プールやお風呂の場合にのみだけ、タンポンを使用すると良いでしょう。



Q8:身体障害のため、生理の処理がうまくできず、いつも服や部屋を汚してしまうのですが・・・。

A:生理時に限定して、トイレなどの汚れてもいい場所(=出血しても安心できる場所)で

 着替えを行うことをお勧めします。



Q9:女性が脊髄を損傷した場合でも、生理は来るのですか?

A:損傷部位にもよりますが、大半の女性は、脊髄損傷後も、生理に全く影響は受けません。

 もちろん、妊娠や出産も可能です。

⇒詳しくは、【女性脊髄損傷者の妊娠・出産】をご覧ください。



Q10:特別支援学校(養護学校)に通っている娘が、もうすぐ初潮を迎えます。

   手足に障害があるため、自分で生理用品の交換ができないのですが、どうすればいいでしょうか?


A:学校の女性教員に手伝ってもらう、ということが理想的ですが、仕事の合間をぬって

 一人の生徒にためだけに、2時間おきに生理用品を交換する作業を教員に期待するのは、

 なかなか難しいと思います。

 また、母親以外の人間に生理の介助を受ける場合、娘さんの精神的な抵抗も大きいでしょう。


 吸収性の高いショーツタイプのナプキンを使用すれば、ある程度、交換の頻度は抑えられます。

 また、朝学校に行く前に、ショーツタイプのナプキンの上に、さらにナプキンを重ねて着用すれば、

 昼にトイレに行ったときに、上のナプキンをはがして捨てるだけで、午後〜帰宅時までは

 清潔なショーツナプキンで過ごすことができます。


 それでも、長時間の着用は衛生面で問題がありますし、娘さんが「赤ちゃんのオムツみたい」

 「授業中にムレるから、着けたくない」という理由で、ショーツナプキンの着用を嫌がる可能性もあります。


 現実的な方法としては、生理初日〜数日目まで(数時間おきに生理用品を交換しなければならない日)のみ、

 母親が付き添って介助をすることが挙げられます。

 回数を重ねて、娘さんの精神的な抵抗を少なくしていくことができれば、

 女性教員をはじめ、母親以外の介助者の力を活用できると思います。


第2章:女性身体障害者へのタンポンの挿入介助〜取り出し介助の手順

第3章:女性身体障害者へのナプキン交換介助の手順



参考文献・サイト一覧

小野清美「生理用品45年の軌跡」(2006年・ふくろう出版)

角張光子「ひろがれ ひろがれ エコ・ナプキン」(2005年・地湧社)

田中ひかる「月経をアンネと呼んだ頃 〜生理用ナプキンはこうして生まれた〜」(2006年・ユック舎)

対馬ルリ子「生理(月経)のトラブルがつらいときの本」(2008年・小学館)

渡辺尚「女の子の体の発育と成長〜正常から病気まで〜」(2002年・少年写真新聞社)

saitamook「20歳のビキニクリニック わたしのカラダって、ヘンなの!?」(2006年・セブン&アイ出版)


●ユニ・チャーム「教えて!タンポン」(http://www.unicharm.co.jp/charm/hajimete/index.html

●エリス・ストリート(http://www.elis-st.com/index.html

●花王 ロリエ(http://www.kao.co.jp/laurier/

●布ナプキンビギナーのための布ナプ生活ガイド(http://nunonapu.chu.jp/



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