ホワイトハンズ大学 


 コラム【聴覚障害者の性】

はじめに:「聴覚障害者の性」が聴こえない!


一口に「障害者の性」と言っても、四肢麻痺等の身体障害者や、知的・発達障害者に比べて、

「聴覚障害者の性」がクローズアップされることは、ほとんどありません。


聴覚・言語障害者は全国で34万人以上、難聴者や高齢者を含めれば、

何らかの形で聴覚に不自由を感じている人は、全人口の5%(600万人以上)存在すると言われています


しかし、彼ら・彼女らの「性」に関する参考文献や資料は、全くと言っていいほど存在しません。

ごくわずかに、マスコミの記事や、統計的・学問的根拠の曖昧な断片的情報が、時折散見されるのみです。


本コラムでは、そういった断片的な情報や経験談を元に、聴覚障害者の方が

自己の「性に関する尊厳と自立を守る」ための方法について、考察を進めていきたいと思います。

(掲載情報は、随時追加・更新いたします)



情報@:聴覚障害者向けのアダルト番組助成金問題の概要(2007年)

2007年、CS放送のアダルト番組専門放送局「パラダイステレビ放送」(東京都新宿区)の番組に、

障害者向け放送における字幕や手話の経費を補助する

「字幕番組等制作促進助成金」が出ていたことが分かり、議論を巻き起こしました。


議論の対象となったのは、毎週金曜日の午後9時からの1時間番組

「裸のニュースステーション」における「裸の手話ニュース」というコーナー。


2004年から開始されたコーナーで、女性キャスターが、世界の性的な話題を手話を交えて紹介するもの。

女性がニュースを伝えながら徐々に衣服を脱いでいき、約5分間の最後には全裸になります。

カナダの番組を元に制作されたそうです。


放送局は、2006年7月に、助成金交付を独立法人NICT(情報通信研究機構)に申請。

NICTは審査の上、「手話は専門家の指導を受けており正確。聴覚障害者の役に立つ」と判断し、

同年10月に交付を決定。

2006年10月〜2007年3月の間に手話にかかった経費の一部(約15万円)が支払われました。


交付について放送局は、「障害者が健常者と同様の生活をし、人生を楽しんでもらうことを考えて放送している。

その趣旨を理解していただいた」と話しました。


NICTから相談を受けた総務省情報通信利用促進課は

「報道番組に補助を出し、娯楽番組を補助しないという理屈は通らない」とコメント。


一方、全日本ろうあ連盟の久松三二・本部事務所長は、「個人的な意見」とした上で、

「番組に手話をつけることは大変ありがたいが、この番組に助成金を出すのはいかがなものか。

他にも手話をつけてもらいたい番組はいっぱいある」と指摘。


当初、NICTは「手話があり、申請を断る理由はない」としていました。

しかし、成人向け番組に国費を投入する事を問題視する声が高まったことから、

総務省は2007年8月に、「アダルト番組を助成金適用対象から除外する」旨の通達を発表。

「裸の手話ニュース」への助成金の適用は、2007年度限りとなった。


これに対し、パラダイステレビ広報は、「わが局の使命は、障害の有無に関わらず、

あらゆる視聴者に娯楽を提供すること」とし、『裸の手話ニュース』を

「さらに内容を強化し、放映を継続する」との声明を発表。


東京都聴覚者障害連盟の越智大輔事務局長は、

「聴覚障害者にも、健常者と同様に性的欲求はある」と通訳を通じて語り、

番組継続の方針を高く評価しました。



情報A:手話通訳者は、アダルトな会話を通訳できない?

筆者の個人的な体験談になってしまうのですが、ある障害者団体の勉強会で

「障害者の性」に関する発表をしたことがあります。


そのとき、会場には、聴覚障害の方と、その方の手話通訳者の方がいらっしゃいました。

私がしゃべっている最中、手話通訳者の方は、私の話を全て手話に置き換えて、

聴覚障害者の方に伝えてくださいました。


手話通訳なるものを生でみたのはそのときが初めてだったので、

「へぇ〜、あんなに速いスピードで、すごいなぁ」と、その技術と迫力に、素直に感動しました。


しかし、勉強会の後に、その聴覚障害者の方から

「今日の手話通訳者の方、あなたのお話をうまく通訳できていなかったですよ」という

メールを頂いて、びっくりしました。


なんでも、手話通訳者の方は、いわゆる「健全な手話」は得意でも、

性的な内容、アダルトに関する領域の手話は、非常に苦手なのだそうです。


「手話にも、エロい手話や、淫靡な手話があるんですけど、なぜか

手話は“清く正しい”健全性ばかりを求められてしまうので、困るんです」と、

その方はおっしゃっておられました。


もちろん健全性は大切ですが、「大人の手話」にも、ある程度の市民権が与えられるといいですよね。



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